朝のあそび。
恋人は、寝起きが悪い。
本人に「起きよう」という意思はあれど、
体がついていかないらしい。
体を起こしたものの、立ちあがることができず、
どさりとふとんに崩れ落ちる場面を何度も目撃している。
ぱたん、と、二つ折りになっているので、たまに感心する。
今朝、食パンを食べていたわたしは、
「そうだ、朝ごはんをあげたら、目が覚めるかも」
と思いついた。
焼かずに、ジャムも何もつけない状態で、
眠っている恋人の口元に差し出してみた。
「ほらー、あさごはんだよー」
と言うと、
恋人は、パンのにおいで目が覚めたのか、
ぱくりと一口かみついた。
よかったよかった、起きたんだね。
恋人がパンに食いついたことに安心して、
めざましテレビに気をとられていて、
恋人にパンを与えたことを、しばし、忘れる。
1分後、振り返ってみると、恋人は、
食パンを顔にのせたまま、眠っていた。
どうしてその状態でねむれるのだろうか。
ふしぎだ。
顔を覆っている食パンには、二口ほどかみついたあとがあった。
食べる気はあるんだね。
もう一度、口元につきつけてみる。
すると、今度は、食べない。
「どうしたの、いらないの?」
ときくと、何かごにょごにょ言ったので、耳をすましてみたら
「…味がない…」
と、怒り、布団のうえに、パンを「ぽい」っとした。
眠りながら怒れるなんて、器用だなあ、
と、わたしは再び感心した。
でも、食べ物を粗末にするのはよくない。
「かじったんだから、最後までお食べ。」
と説教したら、世にもつらそうな声で
「マヨネーズ。」
と言った。
バターでも、ジャムでもなく?
食パンにマヨネーズ?
わたしが目を離した、ほんのわずかなすきに、
恋人は食パンを完食していた。
なんだ。やればできるじゃん。
朝から恋人であそんだ。
そして、これは、神々のあそび。
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