辻仁成 「サヨナライツカ」
とてーもひさーしぶりに読んでみる。
でも、もうこれで最後にする。
3回読めば、おなかいっぱい。
かなり濃厚な作品なので、
元気なときじゃないと読めないね。
でも、ストーリーを知っていても、
「どうなるのかな」
と、その先が気になる。
ストーリーの構成はうまいのかも。
東垣内豊は、ルックス、性格、将来性ともに
申し分ない好青年。
もうすぐ結婚を控えて、タイに駐在中。
そんななか、謎の美女、沓子に出会い、襲われる。
男が、女に、よ!
そこからふたりの期間限定の愛の日々が始まる。
もうね、くどいですよ。
愛するだの、愛されるだの、
ふつうそんなこと口に出して言わないってよ。
女が男を「君」って呼ぶのも、なんだかうさんくさすぎる。
やっぱり、男性の作家が書いたものは、
どうしてもすきになれない。
女性の描写にリアリティがないからだろうな。
沓子は、「男が夢見る理想の女性像」ってかんじがして、
まったく共感できないし、
正反対の婚約者光子のうっかりぶりも、全然共感できない。
女って、そんなに鈍感じゃないわよ。
結局、豊は沓子と別れるんだけど、
そのシーンの未練がましさも、全然共感できない。
主人公の下劣さが、全然納得できない。
ただ、どんなひとの人生にも、
「忘れられないひと」が存在していて、
時にはそのひとが、
すぐそばにいるひとよりも、
自分を支えてくれていたり、影響を与えてくれていたりする。
そのことは、共感できる。
その存在の大きさは、ひとによってちがうと思うけれど。
ストーリーはおもしろかったのだけれど、
文体がすきになれない。
「これでもか、これでもか!」
って、迫りくるかんじがして、うえー、ってなる。
このひとの本は、しばらくは読まないな。
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