めろんぱん。
わたしにとって、おいしいパン屋さんのパンは、
しあわせの象徴だ。
あのふかふかさ、香ばしさは、
確かにわたしの心を動かす。
朝からおいしいパンを食べてしまうと、
しあわせ気分がかなり長いこと持続する。
なので、パン屋さんは、だいすきな場所だ。
あのトレーとトングを取ると、
「あー、わたしは自分でパンを買えるほどの大人になったのだ」
と実感する。
だって、ちいさいころは、そのトレーとトングは、
おかーさん専用だったからだ。
まだ、自立したてのころ、
トレーの上で、するするとすべるパンにびくびくしていたのに、
今は、ふつうにパンを買えるまでに大人になってしまった。
わたしは、一度パン屋さんに行くと、
あさごはん用、お昼ごはん用、おやつ用、
と、かなりの量を買ってしまう。
選ぶパンは、そのときの気分によってちがうけれど、
いつも必ず買うものが2つある。
1つめは、カレーパン。
恋人が、「カレーパンばか」だからだ。
彼は、カレーパンがものすごくすきなので、
パン屋さんを評価するときは、カレーパンを基準にしている。
2つめは、メロンパン。
わたしの評価の基準は、常にメロンパンだからだ。
メロンパンは、究極にシンプルでありながら、
実に奥深い一品だ。
外側のかりかり感と、内側のふわふわ感のコントラストと、
ぽってりとしたたまご色が食欲をそそる。
このメロンパンの完成度で、パン屋さんのレベルを決めるのだ。
今日は松坂屋の北館1階にある
「サンルヴァン」というパン屋さんに行った。
なんとなくそのお店に入ったのだが、
お店の一番奥の窓側に、山盛りのメロンパンがあった。
そこには、燦々と光が降り注ぎ、
黄金色のメロンパンの表面が反射して、
きらきらとまばゆい光を放っていたのだ。
あまりにまぶしかったので、一瞬目の錯覚かと思ったほどだ。
もちろん、わたしはメロンパンをいただいた。
それが、まあ、ものすごくおいしーいのだ!
あんなにもふわっふわのかりっかりのメロンパンを食べたのは、
ものすごくひさしぶりだった。
これはすごいメロンパンだ。
半分ほど食べ進んだところで、
なくなってしまうのがとても惜しいと思った。
けっこうボリュームのあるメロンパンなのに、
まだ半分も残っていたのに、
もう一度食べたいと思ってしまった。
あのかりかり感は名古屋のすばらしいことの1つだ。
食べ終わった後も、わたしはメロンパンのことばかり考えている。
メロンパンと恋におちるなんて、
いままでわたしは考えたこともなかった。
わたしはきっと、明日もパン屋さんに行って、メロンパンを買ってしまう。
これは、もはや、予想ではなくて、確信なのだ。
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