歌をうたう。
通っている歌の教室の発表会があった。
ゴスペルクラスの生徒さんたちに混じって歌うのだけれど、
総勢22名で、高校生から、60歳のおぢさんまで、
年齢層が幅広く、バラエティに富んでいる。
全部で3曲を披露するのだが、最後の曲でソロを務めることになっていた。
この曲の音域は、わたしの声域よりも高く、最後まで非常に苦しんだ。
自分にとって、ものすごくハードルが高かった。
でも、せっかく与えてくれた大役に弱音をはくことはできない。
最後まで、その音域を出すことはできなかったので、
とにかく開き直り、
「ZEPP Sapporoのステージに上がり、照明を浴びるのをたのしむこと」
それだけに専念することに決めた。
とにかく集中するため、気合を入れるために、
会場入りする前にネイルサロンへ行き、
薄いベージュのマニキュアを塗り、左手薬指にネイルアートをしてもらった。
直後に親指のネイルがよれて、わたしの気分もよれたけれど、
きらきらの薬指の爪を見て、気分をごまかした。
歌そのものには自信はなかったけれど、本番には強いので、
本番で発揮しうる集中力には自信があった。
きちんと自分の役割を果たす自信はあった。
「本番での強さ」は、自分の性格のなかでも気に入っている部分で、
これだけでここまで生きてきたのかなあ、とも思う。
会場に入って、他のひとたちの衣装の派手さと、
自分の洋服のあまりの地味さのギャップに驚いた。
みんな正装か、大胆な肌見せか、強烈なラメ攻撃なのだ。
せっかくの晴れ舞台なんだから、もっと気合を入れてくればよかった…。
この発表会で強く感じたことは、
「世の中は、ものすごーーーく広い」ということだ。
通い始めてから、一年弱、教室を通したわたしの世界は、
先生と、クラスメイトの2、3人だけだったのだけど、
北海道の、しかも同じ系列の教室のひとたちだけでも、いろんなひとがいた。
「目に見えている世界なんて、ものすごく小さい!」ということは、
すべての事象において共通する真理であるなあ、と強く感じた。
さて、わたしのソロはというと、やっぱりなんとかなった。
舞台の上にいる自分を楽しめたし、
いつも以上にはじけられたし、大きな失敗はしなかった。
モニターから自分の声がきこえなかったけれど、
へなちょこだったとは思う。
でも、わたしは満足したのだから、それでいいのだ。
どんなに長期間練習を重ねても、その成果を発揮するのは、本当に一瞬。
その儚いかんじが、ちょっと切ない。
ライブ終了後、打ち上げへ行く。
ほぼ初対面のひとが多かったのだけれど、盛り上がった。
対人関係へのコンプレックスを、少し克服できたのかな。
「なかよくなりたい!」と思う女の子がいたので
(好き嫌いがかなり激しいわたしにとってはめずらしい出来事)、
話をしてみたら、年齢が近く、実家が同じで、家も近所だったので、
遊ぶ約束をした。
ほかにも、
前から行きたいと思っていたダンススクールに通っている高校生がいて、
携帯の番号とアドレスを交換し、次の月曜に早速行くことにした。
高校生と携帯番号交換なんて、今までしたことなかったのに!
それから、今月末の次の発表会の打ち上げで、カラオケへ行く約束をした。
あたらしいともだちと、たくさんの約束で、
わたしの日々が動き始めたのを感じた。
ひとといっしょにいることをたのしいと思えた自分が、
ちょっとうれしかった。
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