江國香織 「ぬるい眠り」
手に入れました、ついに。
新作かと思いきや、かなり以前の短編を集めた本のようですね。
どうりで、読んでる途中に
「??なんか、文体が変わった??」
という違和感を感じたわけだ。
いちばんすきなのは、「とろとろ」。
こういうべったべたなお話、けっこうすきだ。
主人公の気持ちを理解できたわけじゃないけれど、
「そうそう!男に溺れるって、そういうことなんだよねー」
と、うっとり。
客観的に見れば、愚の骨頂でしかない状況を、
こんなに正確に描写できるのは、彼女しかいないように思う。
あとは、「ケイトウの赤、やなぎの緑」。
「きらきらひかる」の続編です。
続編を、またちがった登場人物の視点から描くなんて、
やるなー、と思いました。
でも、睦月は、大丈夫なのかしら、と心配になりました。
睦月のこと、だいすきだったので。
そして、あのふたりは永遠なのだ、と思ってたから。
「災難の顛末」の狂気もおもしろかったなー。
自分を守ることに必死で、ほかが何にも見えなくなってしまう。
ある意味、強いよな、あの主人公は。
わたしだったら、自分を隠すことなんてできないもの。
読んだあと、軽く鳥肌がたちましたね。
ちょっとこわかった…。
あと、「ラブミーテンダー」もすき!
年を重ねても、こんなふうに遊び心を忘れない夫婦になりたい、
と思いました。
エルちゃん、呼び方がかわいい。
やっぱり最近の作品の方がすきだなー。
だんだん透明度が増しているような気がします。
彼女の作品は、どんなにたくさん読んでも読み足りないよ。
中毒になってるみたい。
- 関連記事
-
- 「マーフィー 言葉の力で人生は変わる」 (2007/06/19)
- 川上弘美「センセイの鞄」 (2007/06/16)
- 江國香織 「ぬるい眠り」 (2007/06/08)
- 村山由佳 「きみのためにできること」 (2007/06/01)
- 吉田修一「パークライフ」 (2007/05/30)