ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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江國香織 「ぬるい眠り」

手に入れました、ついに。
新作かと思いきや、かなり以前の短編を集めた本のようですね。
どうりで、読んでる途中に
「??なんか、文体が変わった??」
という違和感を感じたわけだ。



いちばんすきなのは、「とろとろ」。
こういうべったべたなお話、けっこうすきだ。
主人公の気持ちを理解できたわけじゃないけれど、
「そうそう!男に溺れるって、そういうことなんだよねー」
と、うっとり。
客観的に見れば、愚の骨頂でしかない状況を、
こんなに正確に描写できるのは、彼女しかいないように思う。

あとは、「ケイトウの赤、やなぎの緑」。
「きらきらひかる」の続編です。
続編を、またちがった登場人物の視点から描くなんて、
やるなー、と思いました。
でも、睦月は、大丈夫なのかしら、と心配になりました。
睦月のこと、だいすきだったので。
そして、あのふたりは永遠なのだ、と思ってたから。

「災難の顛末」の狂気もおもしろかったなー。
自分を守ることに必死で、ほかが何にも見えなくなってしまう。
ある意味、強いよな、あの主人公は。
わたしだったら、自分を隠すことなんてできないもの。
読んだあと、軽く鳥肌がたちましたね。
ちょっとこわかった…。

あと、「ラブミーテンダー」もすき!
年を重ねても、こんなふうに遊び心を忘れない夫婦になりたい、
と思いました。
エルちゃん、呼び方がかわいい。

やっぱり最近の作品の方がすきだなー。
だんだん透明度が増しているような気がします。
彼女の作品は、どんなにたくさん読んでも読み足りないよ。
中毒になってるみたい。

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2 Comments

華子 says...""
わたしも読みながら「あれ、なんか違う雰囲気だな」と思ってから、ああ古いやつなのねと納得しつつ読みました。
虫の話のホラー感が意外でした。ああいう恐怖も書ける人なんですね。
彼女の恋愛物の中毒感は確かにハンパじゃない。
読むたびに「やっぱり女の人の感性ってスゴイ」と思います。あの感性を味わってない人は人生を損してる、とまで思うもの。
2007.06.11 02:56 | URL | #- [edit]
うさぎ says...""
やっぱり雰囲気ちがってましたよね。
いつもの文章の透明度が低いようなかんじがしました。

あと、ホラーなお話は、「災難の顛末」って物語で、
全身におできが発生するものですよね?
あれもひきこまれましたねー。
かなり印象的だった作品です。

すべての女性がそうであるとは限らないけれど、
わたしにとっても、恋愛や男の人は、
人生においての最重要テーマだと思ってます。
だから、彼女の作品を読むたびに、
自分のなかに新しい世界ができるかんじです。

また新作が読みたくなってしまいましたよ。
2007.06.11 09:38 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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