村山由佳 「きみのためにできること」
ひさしぶりに読みました、このひとの本。
うーん、でも、ちょっと青すぎて、もう読むのがはずかしいですね。
俊太郎は、音声技師として、テレビ番組の制作会社で働いている。
地元には、5年間もつきあっている日奈子という彼女がいた。
旅番組の収録で、女優の鏡耀子と出会い、
次第に彼女に惹かれていく俊太郎は、
それぞれの女性に対する、タイプのちがう恋心に戸惑う。
なんか、もう、設定が、青春そのもの!ってかんじがします。
俊太郎と日奈子は、パソコンでのメールを通じて、
ふたりの距離を埋めようとしますが、
読んでいるこっちの方がはずかしくなってしまうような文章です。
でも、そういうすべてをあずけられる安心感のある存在と、
手に届かないようなあこがれの存在、
両方のタイプを求めてしまう、ということはよくあります。
わたしにとって、いまの恋人は
「すべてを受け止めてくれる存在」で、安心できるのですが、
わたしの潜在意識のもとでは、
ドラマに出てくるようなヒーローにあこがれているらしく、
かっこよいすてきな男性とつきあっている設定の夢をよく見ます。
そのことを恋人に話したら、
「夢のなかでは、自由だからな。よかったね」
と言っていましたが。
この作品に出てくる登場人物全員が、
自分の思いを素直に相手に伝えていなかったので、
ちょっといらいらしてしまいました。
俊太郎は、日奈子のそばにちらつく先輩の影を気にしすぎているし、
日奈子は、俊太郎のいない寂しさを彼に伝えないでいるし、
鏡耀子は、自分の切ない想いを、どこにもはきだせないでいる。
結局すべてのトラブルは、自分にうそをついているからなのですよ。
自分の気持ちに正直になることは、
そんなにむずかしいことじゃないのにね。
さて。
この作品も映画化されているのですが、
とてもおどろいたことには、
鏡耀子を、あの、ヴァイオリニストの川井郁子が演じています。
あのひと、女優さんもやってたんですねー。
確かにきれいですが、ちょっとイメージがちがうかな。
まだ見たことがないので、ビデオやさんなどでみつけたら、
手にとってみようかしら。
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