平日の晩餐。
会社で、ひどく頭にきたことがあったので、
おきにいりのカフェで、クールダウンさせてから帰ることにした。
飲み物がおいしいのも重要であるが、
そこには、すてきな大人たちがすてきな生活を推進する、
グローバルな大人雑誌がたくさん置いてあるのだ。
わたしよりももっとがんばっているであろうひとたちの記事を読み、
かっこいい写真たちを見ながら、
ふんふん、なるほどね、
と思っているうちに、あっという間に時間が流れ、
リセットまではいかないが、平常値に戻すことは、できた。
そんななか、いつもよりも早く仕事が終わった恋人から電話が。
彼も、会社でひどく頭にくる事件があったらしく、
「今日は外にごはんを食べに行こう」
と言う。
ならば、名古屋へ出てきて、美味しいものを食べましょう、
ということになった。
平日の夜、仕事帰りに、誰かとゆったりごはんを食べて帰る、
というのは、名古屋では初めてのことだ。
わたしはものすごくうかれていた。
どこに行こうか迷いつつ、ミッドランドスクエアへ。
いま名古屋で最も注目されているスポットだけれど、
初めて足を踏み入れた。
解放感があって、究極にラグジュアリーな空間。
ますますわたしはうかれてしまったが、
ひかれるレストランがなかったので、雰囲気だけをたのしんだ。
周囲には、仕事を終えてのびのびしたカップルや、女たちがいた。
わたしは毎日毎日その間を縫って、駅まで30分も歩き、
そこから電車に揺られ、さらにちゃりんこをこいで家に帰るだけだったが、
今日はちがう。
今日はわたしもそのへんのひとたちと同じように、
都会のOLらしいアフター6を過ごすのだ。
自分では全然気づいていなかったけれど、
ただ直帰するだけの日々に、物足りなさを感じていたらしい。
その日は、とても満ち足りた気分だった。
恋人と合流したあと、いつも行くお気に入りのごはんやさんへ。
仕事で疲れた身体に、おいしいお酒がしみこんで、
これ以上ないほどのしあわせ感だった。
やわらかな明かり、舌のうえでとろける肉、みずみずしいお魚、
何もかもが、わたしをうかれさせていた。
お酒とお料理の美味しさにうっとりしてたら、
仕事のことなんて吹っ飛んでいったし、
さっきまで考えてたいやなことに対する答えが出ていた。
恋人は有頂天ながらも、
「平日は、お店が空いてるし時間も少ないから、外食の方が効率的だね」
と冷静なことを言い、わたしは確かにそのとおりだと思ったので、
これからは、たまに、平日に豪華なごはんを食べることにしよう。
とてもいい気分転換になって、よかった。
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