ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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東野圭吾 「手紙」

けっこうお気に入りの東野圭吾の本。
いままでに3冊くらい読みましたが、これは傑作でした。



映画化もされたみたいですね。
今度はそちらも見てみたいと思います。

両親を亡くした兄弟は、経済的に追いつめられ、
ついに、兄が強盗殺人という罪を犯してしまう。
弟を大学に行かせたい、という強い思いによって引き起こされた事件が、
その後の弟の人生に、じわじわと暗い影を落としていく、という物語。

冒頭の部分は、なかなかに、痛いです。
だって、高校生で、身寄りが1人もいなくなってしまったら、
それだけでも生きていくことだけで精一杯なのに、
ましてや「殺人犯の弟」というレッテルを貼られたら、
それはさらに悲惨さを増す。
昨日、わたしは「お金がないのよー」と、
このブログで意味のない主張をしてしまいましたが、
この状況に比べたら、そんなの、甘いわよね。
だって、生きていくこと自体に困っているわけではないし、
仕事だって、探せばいくらでもあるんだし、
わたしはもう、自立できる立場にあるんだから。
いつもだらしない自分に苛立つことが多いので、
自覚は全然なかったけれど、
わたしはもう、りっぱな大人として生きているんだなあ、
と、実感しました。

でも、世の中には、確実に、今日ごはんが食べられるかどうか、
っていう瀬戸際を、日々、行ったりきたりしているひとがいる。
躊躇なくごはんを食べられる、という当たり前のことですら、
本当は恵まれていることなのですよ。

わたしは自分のまわりに犯罪関連のレッテルを貼られたひとがいないので、
実際にこういうひとがいたらどうなるのか、全然実感がわきません。
きっと余計に気を使いすぎて、空回りしてそうだけど。
でも、きっとあからさまに避けたりはしないと思うし、
したくないと思うなー。
でも、できるかどうかは、実際にその立場にならないとわからないけど。

このひとの本は、いつもラストで泣かされるような気がします。
ちょうど通勤途中の電車の中でラストを読んだのですが、
涙がじわっと出ましたねー。
いいラストだったと思います。
その後、ふたりがどうなるのかはわからないけれど、
そういう余韻のもたせかたもうまいなー、と思いました。

リピートして、何度も読むと思います。
すごくいろんなことをおしえてくれる物語でした。

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