ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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よしもとばなな「ハゴロモ」

タイトルにひかれて、購入。
ハゴロモ。
カタカナで書いてあると、なんとなくツナ缶を思い出す。



主人公は、8年間もの愛人生活が突然終わり、
深く傷ついてしまった「ほたる」という女性。
ふるさとの町で、いろんなひとに出会い、
徐々に癒されていく。

いつものとおり、主人公は、母を早くに亡くしていて、
まわりには、へんなひとたちがたくさんいる。
みんなへんてこりん。
「それは、共感できない」
と思う部分もよくある。
けれど、どうしてもこのひとの本を読んでしまうのは、
風景や、心の描写が、ものすごくきれいだから。
この作品では、川の描写がとてもすてきだった。
わたしの家の裏にも川が流れていたし、
すぐ近くにかなり大きな川があって、
通学途中には、いつも川を見ていたので、
なんとなくなつかしい気持ちになった。

わたしには、不倫の経験はないが、
まるで、愛人のようにひたすら「待ち」体制だった時期はあるので、
主人公の気持ちは、なんとなくわかる。
あれはなかなかにつらい。
男がいるときは、時計に支配され、
いないときは、電話に支配される。
生活のすべては、常に拘束されており、
いつでも「きみは後回しですよ」と諭されているような、
不安定な日々だった。
あんな想いは、二度としたくないと思う。
もうそんなことはないと思うけど。

この作品のなかで、キーとなる人物は、
「バスターミナルの神様」で、
ものすごく心に残った彼女のセリフがある。
「人間は、絶対に無理をしてはいけない。
 無理がすべての悪いことを生み出す」
ということ。
うわー、と、思った。
わたしは常にもっとがんばらなくてはならないと思っていたから。
自分のやるべきことをわかっていながら、
それを実行できない自分の根性のなさ、行動力のなさについて、
すごく、情けなく思っていたから。
あまりに正反対のこたえを見つけてしまい、びっくりしたのだ。

そうか、このままでいいのか、ふつうにしてればいいんだ、
と、思った。
確かに、自分の進むべき方向は、いつでも、
ふと見えてきたり、いつのまにか、目の前に差し出されていた。
それは、川の流れのようなものだ。
なんだか、身体からむだな力が抜けたような気がした。
その部分を読んだのは、ちょうど晴れた朝で、
そのとき、陽射しがたくさん差し込む電車に乗っていて、
ちょうど、大きな川にかかる橋の上を渡っているときだった。
「あー、このことばに、救われたかも。」
と、思った。
たいせつなのは、無理してがんばろうとすることじゃなくて、
ひとつずつを丁寧に受けとめる、ということなんだと思った。

ていねいな生活。
いい響きじゃないか。

あとがきに、
「弱っているときに、じんわりとしみてくる小説」
とあった。
わたしは少なからず弱っていたのかもしれない。
今は2度目を読み返しているところです。

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2 Comments

ずず says..."ハゴロモ"
私もこの小説、好きです。
ばななさんの作品はいつもへんな人ばかりでてきて
「またか」という気持ちにもなりますが、
はっとさせられる文章が沢山でてくるので読んでしまいます。

バスターミナルの神様のエピソードも好きですが、
ラーメン屋の青年の、お母さんを優しく見守る視線も
好きです。

今、ちょっと弱っているので再読してみようかと思います。
2007.03.09 11:51 | URL | #- [edit]
うさぎ says..."おすすめです。"
最近あたたかくなってきたし、
川辺をおさんぽしながら読んだりするのもいいかもしれませんね。

みつるくんみたいな、落ち着いているおとこのひとがだいすきです。
男は、ああいうふうに、あたたかく、安定していてほしい。
あれを読むと、インスタント塩ラーメンが食べたくなってしまいます。

最近の作品のなかでは、「海のふた」もよかったけれど、
「ハゴロモ」も同じくらいすきになりました。
2007.03.10 13:06 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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