飛ばしてる恋人。
毎月恒例の残業ウィークが終わったので、
ひさしぶりに恋人とテレビを見ていた。
Mステを見ていたら、恋人のすきなうたが流れ、
それは中島みゆきが作曲したTOKIOの歌だったので、
ふたりで中島みゆきを絶賛した。
すると、恋人が、
「いやー、中島みゆきの歌は、なんか、こう、ずしんとくるよねー。」
と言い出し、さらに、
「おれが初めて買ったCDは、
中島美幸の"空と君のあいだに"とね、
THE 虎舞竜の"ロード"なんだよー」
と、言った。
おいおい、若いのに、あまりに渋すぎる選曲じゃないか。
どっちもかなり重苦しいバラードで、
こどもがきくような音楽じゃないぞ。
ふつう、初めて買うCDって、明るくて元気になれるような曲じゃないのか?
さらに、恋人は続けた。
「おれさー、すきなうたって、ずーっとリピートしてきくじゃん、
だから、そのころ、ずっと中島みゆきと虎舞竜ばっかりきいててさ、
親に、そんな暗い歌ばっかりきくの、やめなさい、
ってとめられたの。」
たしかにね、わたしが親だったら、CDとりあげるね。
さらにとどめの一言が、
「やっぱり、おれって、ネクラなのかなー」
これでわたしはこらえきれずに、
布団のうえをごろごろしながら笑い転げた。
いや、あんたよりも楽天的な人間を、わたしゃ、見たことがないよ。
彼を知る者全員が、そう断言するにちがいない。
だって、彼は、シャワー後、ぱんつ一丁で
DJ OZMAの「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」を歌い踊りながら、
わたしに近づいてきて、
サビをうたっただけで、
「あー、今日は踊りつかれた」と言い、歯をみがき始め、
歯磨きしながらまた踊りだしたものの、
はみがきをしていることを忘れて歌いだそうとしてひとりで困惑し、
「あ、うがいをすればいいのかー」と気づいて、台所に行ったが、
「おえぇぇ」とえづいている。
その後、あの歌の歌詞に出てくる英語の曜日がわからず、
「さんでーって、げつようび?」
とか言っちゃっているのだ。
だめだ、笑いすぎておなかがよじれる。
仕方がないので、わたしが7つの曜日の発音をおしえてあげると、
恋人は、"R"と"TH"の発音に苦戦し、口と舌に変な力の入れ方をしており、
ものすごい顔をしているので、顔がやばいよ、とつっこんであげると、
「おれのえさ袋、すーぐふくらむんだわ、
こっからなんか生まれそうだな、ハトが出るかもしんねー
おれ、今日5羽ぐらいハト産むかもしんねー」
と言い出した。
いや、きみは人間だから、えさ袋もないし、鳥も生まれないよ。
ずーっとおしえてあげたのだけれど、なかなか覚えられないので、
「もう今日のレッスンは終わり!あとは個人練習ね」
と言うと、ふとんにもぐりこんで練習を始めた。
ふとんのなかから、低い声で
「Monday...Monday...」と練習している。
いや、それには、"R"と"TH"は含まれてませんね。
最後に、
「どう、おれ、うまくなった?センスある?」
ときくので、
「いや、ないね」と答えると、矢継ぎ早に
「おれ、センスあるぅー」
と自画自賛していた。だったら聞くな。
おもしろすぎて、わたしがハトを産むかと思った
ちなみに、わたしが初めて買ったCDは、
平松愛理の「マイセレナーデ」だった。
彼女の透明感のある歌声と、ボサノバのリズムがめずらしかったのだ。
こどものころから、音楽の趣味はふつうじゃなかったわたし。
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