ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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リリー・フランキー「東京タワー」

ベストセラーとなったリリー・フランキーの東京タワーを読んだ。



以前、会社の忘年会に行ったとき、
それまで話したこともなく、
名前も知らないえらい部長のそばに座ることになった。
そのひとが、この本を読んで、おもしろいということを話してくれたので、
「おもしろそうなので、ずっと気になっていたんですよ。
 部長がそうおっしゃるなら、読んでみます。」
とわたしが言うと、
「貸してあげる。こんどもってくるね」
と言ってくれた。
きっと、その場のノリで、そう言ってくれたのだろうと思ったのだが、
その翌日、部長は、
「はい」
と、とってもさりげなくこの本を貸してくれた。すてきだー。
休憩中、このことに感動したことを話すと、
「あの部長はとっても義理堅いひとなのよ」
とほかのひとも言っていたので、いつもちゃんとしているのだろう。
こういう大人になろう、と思いました。

いつも持ち歩いて、通勤中に読んでいたのだが、
半分まで読み進んだところで、本が傷んできていたのが気になった。
せっかく貸してくれたのに、申し訳ないと思い、
今日、残りの半分をお風呂のなかでよみました。

いやー、予想以上におもしろい本だった。
売れるのもわかるわ。
ものすごく文章がわかりやすいうえ、おもしろいのだ。
いろんなところにひねりや小技がきいていて、
読んでいても全然飽きないのだ。
活字を読むと「おやすみ3秒」が自慢の恋人も「おもしろい」と言っていた。

ストーリーは、言わずもがなみなさんご存知でしょうけれど、
リリー・フランキーの幼少時代から、
母親を東京に呼んだあとの共同生活の様子、
厳しい闘病生活と、オカンとの別れまでがつづられている。
ふつうのエッセイのような物語なのだが、
リリー節が随所にちりばめられ、彼の文章力のうまさに感服しました。

リリー・フランキーはオカンがだいすきなのだけれど、
その理由も、すごく納得がいくもので、
彼らの生活は、本当に「波乱万丈」だったので、
ただのマザコンと一言で括ることができない、強い絆を感じた。

わたしはまだ、病気と直面したことがない。
自分自身が入院した経験もないし、こんなに辛い看病の経験もない。
だから、リアルな闘病生活の描写に、胸がつまることが何度かあった。
こんなに壮絶な体験をしながらも、
ひとはみな、生きていかなくちゃならない。
それは、絶望的なことのようにも思えるし、尊いことのようにも思える。
ふつうな顔してそのへんを歩いているひとたちも、
人間の物理的なしくみの残酷さに直面しているのかと思ったら、
自分もいつか、そういうことに直面するのかと思ったら、
鳥肌がたつほどの恐怖を感じた。
わたしはふつうのひとに比べ、そういうものに非常に弱い。
でも、そこから目を背け続けることはできないんだなと思った。

そして、人間の生命には、「リミット」があるってことを知った。
これは、焦って人生を送らなくてはならない、とか、そういうことでなく、
当たり前だと思っていた日常は、
ある日突然、砂上の楼閣の如く崩れ落ちるものであり、
それは、止めることのできない真理なのだということだ。
だからこそ、一瞬一瞬を本気で生きていかなくちゃならないのね。

「母親とは、無欲な生き物である」
という一節を読んで、
いろんな欲にまみれた自分も、母になったらそうなれるのかと、
母親になることにあこがれた。
オカンのように、立派にはなれなくとも、
ここまでこどもに慕ってもらえるようになりたいなー。

これを読んで、「家族をだいじにしよう」と思えないひとは、鬼だー。
ストーリーを知ってても、
みんなが「泣けるよ、泣けるよ」と刷り込みをしても、
それでも涙が流れて、いろんなことを考えさせてくれる本は貴重です。
「みんな読んでるから、内容だけ知ってりゃいいやー」
などと思わずに、ぜひ読んでみてくださいな。

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3 Comments

JJ says...""
「東京タワー」、超読みたいのですが、
友人が自分が読むまで貸さないと言って、
なかなか手に入らないのです。。。

図書館でも行ってみようかなぁ。
2007.01.11 00:14 | URL | #- [edit]
ずず says..."この本、"
前から読みたいと思っていたのですが、金銭的な理由で(笑)
文庫待ちしてたんです。
けれど、うさぎさんの文章読んだら、凄く読みたくなってしまいました。
誰か貸してくれないかな。。。

私は病気がちなので、体調悪くなるたびに、うさぎさんと同じことを思うのです。
できるだけ後悔のない時間の使い方をしたいと思ってます。

それにしても部長さん、いい人ですね~!
2007.01.11 16:03 | URL | #- [edit]
うさぎ says...""
JJさん、
買ってもいいと思いますよ、この本。
定期的に読んで、定期的に家族のありがたみを知るといいかも。
それに、ずしっとくるフレーズもたくさんありましたからねー。
図書館でも、きっとかなり人気なんじゃないかしら。
でも、本は逃げないし、
テーマも普遍的なので、いつかはちゃんと読めるでしょう。

ずずさん、
部長さんはいいひとです。
ぼろぼろになったことを謝ると、
「全然気にしなくていいよー」
とすてきに許してくださいました。
ほんとにすてき。

健康のありがたみというのは、
それを失うまで、あまりにも当たり前すぎて、
気づくことができないのですよね。
人間とはかなしい生き物だと思います。
でも、身体をこわさなくてもそれをおしえてくれる本は
貴重ですよね。
2007.01.12 22:46 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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