ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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偶然を必然に変えるため。

山口県光市で起きた、母子殺害事件。
昨日、最高裁での判決が下された。
「無期懲役判決を破棄し、2審に差し戻し」。
7年もの歳月が、白紙に戻ったのだ。
死刑を切実に望んでいる遺族の立場を考えると、
やや惨い判決であったと感じた。

しかし、最高裁の役割は、
これまでに集められた証拠をもとに判決を下す、というものであるため、
新たな証拠を提出して、もう一度、裁判をやり直しましょう、
というものではないらしい。
そのため、無期懲役を覆しての死刑判決は、難しいものだったようだ。
また、近い将来、裁判員制度が導入されるため、
差し戻しも、ある意味では、前進ということができるのかもしれない。

この事件がメディアで取り上げられると、
そのたびに遺族である本村洋氏の露出が多くなる。
彼は、あまりに雄弁であるため、
彼に対しては賛否両論の意見が飛び交っているが、
わたしは、彼を素直に称えたいと思う。

死刑をはっきりと目標に据えた彼に対し、
「人殺し」という批判もあったそうだが、
何の罪もない、自分の愛するものを衝動的に殺した犯人に対して
殺意を覚えるのは、自然な流れであるとわたしは思う。
もし、自分がそういう立場なら、同じ気持ちになるはずだ。
しかも、あんなふうに短絡的理由で人を殺めるような人間が、
今後更正したことを認められ、社会に放り出されたとしても、
それほど大きな貢献ができるとは思えない。
人命の重みを、被告本人だけでなく、社会全体に知らしめるためには、
「死刑」も単なる残酷な行為ではないように思う。

もし、本村氏が、ここまで粘り強く裁判で争わず、
さらに、メディアへの露出を控えていたとすれば、
彼が負った、あまりにも深すぎる心の傷を抉られるような機会は
確実に少なくなっただろう。
けれど、それを恐れずに、ひたむきに戦っている姿には、
どうしても心を動かされずにはいられない。

記者会見のなかで、彼はこのようなことを発言していた。
「人生とは、偶然を必然に変えるものである、という言葉をきいた。
 だとしたら、この事件をきっかけに、
 自分が司法を変えていかなくてはならない。」
本人の言葉とは、違う部分もあるかもしれないが、
このような内容のことを言っていた。
もし、神様が本村氏に対して、そのような命題を与えたのなら、
あまりに厳しすぎる試練であると思った。
わたしも、自分自身の存在を、単なる偶然ではなく、
「必然」にしなくてはならない。
そのためには、一体何ができるんだろう。

すごく、心に残るニュースだった。

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2 Comments

まと says...""
全く同感。
死刑制度、少年犯罪について大いに議論するべきだけど、木村氏の行動を批判するのはズレてるよな。
2006.06.22 07:48 | URL | #- [edit]
うさぎ says..."そういえば"
法律関連は、まとさんの専門分野でしたね。
「アリーMyラブ」を見て、
「裁判って、おもしろいなあ」
って思ったのだけれど、
やっぱり、ドラマと現実では、重みが全然ちがいますね。
本村氏の本気の表情を見てたら、
息がとまりそうに苦しくなります。
彼、かしこいよねーー。
きっと、もともと賢いひとだったのね。
彼の発言には、考えさせられてばかりです。
2006.06.22 23:16 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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