ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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小川洋子 「博士の愛した数式」


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icon わたしにしては、
 時代の波に乗った作品を読みました。
 古本屋さんで出会い、即手にとりました。
 映画が好評だったし、
 小川洋子の本は、とても読みやすいしね。
 
 あまり期待をしないで読んだせいなのか、
 予想以上におもしろかった!
 すごくおきにいりの本になりました。
 読むと、心があたたかくなります。

博士は、数学の教授をしていたのですが、
事故にあい、80分しか記憶を留めることができません。
主人公は、そんな博士のお家へ、家政婦として出入りします。
博士は、こどもを全般的に溺愛していて、
家政婦さんに息子がいることを知ると、
彼をつれてくるように促します。
そこから、奇妙な3人の生活が始まります。

この作品を読んで、驚いた。
それは、ふつう、男女が登場したら、必ず恋愛感情が出てくるものだし、
記憶を失った、なんてなったら、人の生死に関わるミステリーが出てくる。
でも、この作品には、そういうダークな要素が一切ない。
嵐の如き事件がないのにも関わらず、
とにかくストーリーにひきつけられてしまう。
ただひたすら純粋に、家政婦さんは博士を大切にしていて、
博士は息子を大切にしていて、
息子も幼いながらに博士を大切にしている。
ただ、それだけなのに。
こんなに純粋に引き込まれる作品には、めったに出会えないでしょう。

また、ストーリーの核となる「数学」についての記述も、
とっても興味深いものだった。
文系のわたしにとっては、
「数学にも、ドラマはあるんだな」
と、新しい数学の側面を見た。
そういう意味でも、この作品はすばらしい。
もし博士が数学をおしえてくれたら、
わたしはもっと数学をすきになれていたかもしれない。

これはぜひみなさまに読んでいただきたい!
本当に心の底から「ああー、いいわーー」
と思える作品でした。

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3 Comments

riku says...""
この本、私も読みましたよ!久々の「絶対お奨めの本」ですよね!トラックバックなるものしてみました。
2006.06.06 21:35 | URL | #WIDQZP9I [edit]
ずず says..."私も読みました"
小川洋子さんの小説はグロくて不気味なものが多い中、
この作品はサラッとしてて読みやすく、大好きな作品になりました。
小説を読んでから映画を観に行ったのですが、寺尾聡扮する博士が
はまっていたと思います。
映画の場合は原作ではほとんどでてこない、大人になった
ルート(吉岡秀隆)の思い出話として博士のことが語られています。
それが映画を観た人には賛否両論分かれてしまったのですが
私には好きな映画でした。

中学生の頃にこの作品に出会っていたら、もっと勉強が好きになっていたのではないかと思います。

下の方のお話ですが、歌で人を泣かせられるなんて、うさぎさんはすごいです!
うさぎさんの歌が聴いてみたい!
近所なら私の方からテープをもらいに行ってましたよ(笑)
私も結構長い間フルートを習っているのですが、未だに綺麗な音が出せません。
いつかうさぎさんのように人を泣かせられるような音が出せるようになりたいです。
2006.06.07 11:23 | URL | #- [edit]
うさぎ says..."やっぱり、これは傑作よねー。"
rikuさん、
トラックバックありがとうございます。
いたづらが多いので、承認制をとってるのですが、
先ほど、承認させていただきました。
おっしゃるとおり、
「絶対おすすめ!」です。
わたしもトラックバックさせてくださいねー。

rikuさん、
わたしも小川洋子の作品は、
ちょっと不気味だわー、となんとなく敬遠してました。
文体は読みやすいのにー、残念、
と思っていたので、
この作品がしっくりきたんだと思います。
映画は、そういうつくりになっているのですかー。
うーん。ちょっとちがうなー。
でも、見てみたいです。とても。

ずずさん、フルート吹いてるのですね。
わたしも中学のころ、ちょっとだけ吹いてたので、
きれいな音を出せない、ということ、理解できます。
うまいひとと、そうでないひとは、
圧倒的に音の透明度がちがいますもんねー。
もちろん、わたしの音は濁ってたんですけれど…。
技術よりも、演奏する側の心が、
きくひとの心を動かせるのだと思います。
そう意識しただけでも、音は変わってくるものだと思いますよー。
2006.06.07 20:26 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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博士の愛した数式
博士の愛した数式 小川 洋子 ぼくの記憶は80分しかもたない・・・・世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した――。  こんなにいい小説を読んだのは久