おぢさんの集い。
ある日突然、叔父から電話がきた。
叔父のフォークバンドでキーボードを弾かないか、というものだった。
わたしは10年ほどエレクトーンを習っており、
演奏もしょっちゅう披露していたため、叔父はわたしを
「鍵盤を弾ける奴」と思っていたのでしょう。
そりゃー、昔はイケイケ(死語)だったけど、
もう10年もブランクがあるのよ。
しかも、フォークにはまったく興味を持てない…。
でも、何かしら音楽をしていれば、ひととのつながりは広がるし、
半ば強引に参加決定の判決が下されていたため、
先月からせっせと練習を重ねておりました。
結果的には、いっしょにやっていたおぢさんたちが、
超ハイテンションでとっても陽気なひとたちで、
練習の度に笑い転げていたので、それだけで、参加してよかった。
何が哀しいって、昔はあんなにぴょろぴょろ動いてた指が動かず、
アドリブも思いつかないし、耳が衰えている。
やーねー。
全編ほぼコードのみの、かなりテキトウなアレンジ。
聞かせるのが恥ずかしいぜー。
でも、みんな「それで十分だ」というので、その言葉に甘え、
原曲の合いの手をほとんど省略してしまった。おほほ。
というわけで、今日がその本番。
朝集合して会場のセッティング&リハーサルを行い、
さらに、出番後も撤収作業を手伝おうと思ってたので、
結局フルタイムで働くのと同じくらいの拘束時間。
わたしはいちばん若かったにも関わらず、いちばん疲れていた。
何にもしていないのに、もうくたくたよ…。
本番は、1曲目でキーボードの音が出ず、へこまされた。
ちくしょう。PAめ。
わたしが音を出したくないこと、わかってくれてたのねー。
でもほんとに出さなかったらさぼってると思われちゃうわよー。
さらに、最後の曲では、叔父がカポの位置を変えるのを忘れ、会場は爆笑。
コミックバンドを目指すとのたまうだけあって、
会場の笑いを誘うことはできた。よし。
何しろ、まわりのひとたちは、セミプロですごいひとばかりなので、
それに圧倒されてしまった。
やっぱりおとなって、キャリアが長いし、
若者とちがってお金あるからいいギター使ってるし、
とにかくうまいのよねーーー。
若者とは全然ちがうわー。
塩こしょうだけじゃない、もっと深いスパイスがきいている。
プロじゃなくても、こんなにすごいひとはいるんだなと思ったわ。
そして、おぢさんたちは、異常に元気だった。
リハーサルが終わってから、出番がくるまで、
控え室でずーっとセッションをしている。
さらに、出番が終わってまた控え室に戻ってくると、
また誰かがギターを弾いている。
さらに「打ち上げで何弾こうかな」…。打ち上げもセッションか…。
「すっごいっすねー」
と言うと、
「だって、ギター弾いてると、ほんとにたのしいんだもん」。
みんな心は少年のままなのね。
こういうふうに歳を重ねられるのは、とってもいいことだ。
帰り際、会場を片付けていると、
「この花束もらってくれない?」
と出演者の方が声をかけてくれた。
お客さんから花束をもらったが、飾れないので困るというのだ。
もちろん、ありがたくいただきました。
横取り花束。ラッキー。
うちの両親も見に来ていたので、
「どうだった?」
と感想をきくと、
「あんたはいなくてもよかったんじゃないの?」
ですって。
へえー。
ふーん。
そうかもね。
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