ABSOLUTE LIFE

すてきなものにかこまれ、すてきな音楽をきき、すてきなものをたくさん見ることが、心のビタミン補給です。
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江國香織&辻仁成 「冷静と情熱のあいだ」

何をいまさら、
というかんじがするのですが、
久々に読んだら、やっぱりおもしろかったので。

  
2人の作家が、男女それぞれの視点から1つの物語を描くという
かなり画期的な手法が取り入れられていて、
それは成功だったなーと思います。
率直におもしろいと感じましたから。
ただ、登場人物のそれぞれの気持ちは、まったく共感できませんでしたけれど。

読み方によって、感想は全然ちがってくると思います。
2つの本はとても対照的だから。
それぞれの本を交互に読めば、
彼らの生活と同時進行で、はらはらどきどきしながら読んでいけるし、
別々に読めば、それぞれの気持ちの流れを読み取ることができる。

わたしは、赤い方を読んでから、青い方を読みました。
ちょっと失敗だったかな。
順番を逆にすればよかったのかも。
だって、順正は、あまりにも後ろ向きなんだもの!!

わたしは常に未来しか見ていなくて、
過去をすっぱり忘れていくタイプなので、
彼の気持ちが全然理解できませんでした。
なぜに、あんなに過去にこだわることができるのか、
わたしにとって、彼の気持ちはミステリィ。

一方、あおいは、
あんなにしあわせな生活を送りながら、心の闇を抱えていて、
それもまた理解し難い。
うーん、なぜにあんなに甘いマーヴにとけてしまわないのだろう。
わたしなら、めろめろになってしまうだろうなー。

あとは、芽実とマーヴが、どうしてあそこまで順正とあおいをすきだったのか、
全然わかんない。
もっといいひと、いると思うぞーー、と、わたしは声を大にして叫びたい。

どちらの作品も、日本語がきれいですね。
すてきな表現がたくさんちりばめられていて、
読むのを止めるのがむずかしかった。
そして、イタリアの風景が目に浮かぶほど、情景の描写が細やかで、
まるで自分もイタリアにいるかのような気分になれました。

わたしも、常に、冷静と情熱の間で揺れています。
とても不安定で、曖昧だけれど、
その間をいかに泳ぐかが、自分自身の本質なのかもしれないと思いました。

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6 Comments

JJ says..."冷静と情熱のあいだ"
「冷静と情熱のあいだ」は大学に入りたてのころに読んだんですが、また読み返したくなってきましたよ(^^)

ブルーを読んでから、辻さんに興味を持って直木賞受賞作(だったかな?)の「海峡の光」を読んだのですが、登場人物の心情が、より深く沈んだところにあったので、読んでいて苦しくなったのを覚えています。


ロッソの方は、実は初めて読んだ江國さんの作品だったりするのですが、情景描写がきれいだったので、気持ちよく読めました。

あおいのようにどこまでも自分の気持ちに妥協なく、素直に生きられたらいいだろうなと思ったりしますw
2006.04.07 01:14 | URL | #- [edit]
ずず says..."冷静と情熱のあいだ"
私もこの本を読んだ時に、まったく同じ感想を持ちましたよ。
面白いと思いながらもまったく共感できませんでした。
10年間も会わない人を思い続けるのは私には無理です。
ただこの作品をきっかけに江國さんにはまっていったのです。
数年ぶりに私も読んでみたくなりました。
2006.04.07 16:24 | URL | #- [edit]
うさぎ says..."やっぱり"
みなさん、この作品は読んだことがあるのですねー。

JJさん、わたしも「海峡の光」読んだことがあります。
おもしろかったのは覚えているんだけれど、
どんなお話だったか、さっぱり覚えてませーん。
また読み返してみようかな。
でも、苦しいのか…。ちょっと迷う。
そうか!あおいは、決して妥協を許さないひとなのですね。
だから、ああいうふうになったんだ。
なるほど。ちょっとあおいの気持ちがわかりました。

ずずさん、こんばんわ。
まったく同じ感想だなんてー、うれしいです。
やっぱりこの本、むずかしいですよね。
一度すきになったひとをずっとすきでい続けることはできるけれど、
あれほど振り回されてしまうのは、無理だなー。
久々に読むと、いいですよ。
映画も見たくなってしまいました。
よくない出来映えであるのは、十分わかってるのですけれど。
2006.04.08 00:39 | URL | #1jxB54a6 [edit]
Dormy says..."うぅむ。。。"
あたしは「情熱と情熱のあいだ」だな!わはは。
見境ないのね。まだ幼いのかも。
この本の事、映画の事は知らなかったんだけど、
なんか惹かれる!すっごいおもしろそ!
うさぎのいう、「未来だけみてきた」っていうの、
あたしもそーかも!過去をあまり引きずらないんだよね。
今は落ちてるけど、きっと一時的なものだわ。
うさぎは最近あがってきた??計画は順調?
色々お話したいわね。
2006.04.08 01:06 | URL | #- [edit]
sabo says...""
うさぎさん、こんばんは。
私は、エクニさんの本の中でも、これはかなり好きな一冊なのです。公衆電話から純正に電話をかけるシーンとか。。何度呼んでも切なくて泣いてしまう^^;
イタリアの情景がオーバーラップして。。素敵だなあと思います。(ほんと。マーヴも素敵なのにねー)
映画も、賛否両論あるけれど、私はとてもとても好きでした。ちょうど、イタリアに遊びに行った年だったので
今でも思い出の残る大切な一本となっています。
辻さんは。。個人的にはかなり苦手。。かも(笑)
2006.04.10 19:57 | URL | #- [edit]
うさぎ says...""
Dormyちゃん、本はかなりおすすめです。
共感できるかどうかは別として、
ひとつの作品としては、とてもおもしろいです。
映画は、ふつうに見れば、すてきな作品だと思いますが、
この作品をもとに作った映画としてみるなら、イマイチです。
設定変えすぎです。

わたしはいつも計画通りですよ。
そろそろ本格的に動かなくてはならないので、
かなり焦ってきました。
まあ、5月には、いろいろと話しますよ。

saboさん、イタリアへ行ったんですかー。
どんなでしたか??
わたしも来年ヨーロッパへ飛ぼうとしているんですが、
ちょっと足を伸ばして、イタリアも行ってみようかなあ。

辻さん、苦手ですかーー。
確かに、ちょっとね、暗いかもね。
2006.04.10 20:51 | URL | #1jxB54a6 [edit]

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辻仁成
辻仁成辻 仁成(歌手・映画監督の場合つじ じんせい、作家の場合及び本名つじ ひとなり、1959年10月4日-)は日本のミュージシャン、映画監督、小説家。血液型はO型。略歴1959年10月4日 東京都南多摩郡日野町(現日野市)に生まれ、その後父親の仕事の都