プールでの観察。
プールに行く。
ビギナーコースで、ふらふらと泳ぐ。
立ち止まって泳ぐ人専用のコースで、
おじーさん、おばーさんと同じコースで泳いでおります。
すぐとなりは、速く泳ぐ人のコース。
そこを泳ぐひとたちは、お魚のようにすいすいと泳ぐので、
たまに見惚れる。
きれいなフォームで泳ぐひとを見ると、
じっとみつめて、泳ぎ方を盗む。
泳いだあとは、息が切れるので、すこし休憩する。
ふと、目を上げると、速く泳ぐコースに一人の男性が飛び込んだ。
あらら。
こういうところのプールは、飛び込んじゃダメよ。
プールガードのひとの表情が険しくなる。
ざっぱーんと飛び込んだその男性は、
なんと、バタフライをしだした。
激しい水しぶきが、ざばざば飛んでくる。
プールガードさんは、ますます険しい顔になる。
やれやれ、というかんじ。
案の定、彼はプールガードに声をかけられ、
ふつうのクロールで泳ぎ始めた。
が、クロールも、ものすごいばしゃばしゃ具合なのだ。
腕を水中に持っていくときに、
ばちーん、と水を叩くのだ。
なんでそんな泳ぎ方になっちゃったんだろう、
と思うと、目が離せない。
しばらくして、彼はプールから上がった。
彼の水着は、ずり下がって、おしりの割れ目が見えていた。
おお、泳ぎ方がああだと、
水着の着こなしもこうなのか、とわたしは思った。
彼は、そのまま窓際に行き、
腰に手をあてて、外の景色を眺めていた。
お尻のわれめを、プールに向けて、
ひとり、窓際にたたずむ様子を見て、
水着の着こなしがああだと、たたずまいも、こうなのか、
と、わたしは思った。
結局彼は、おしりのわれめを出していることに気付いているのか、
気付いていないのか、よくわからないのだけれど、
しばらくうろうろしてから、去っていった。
飛び込み→バタフライ→クロールばしゃばしゃ→われめ→たたずむ
の一連の流れで、彼はナルシストなんだろうと推測した。
きっと、そうに違いない。
という、オチのないある日の話。
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