江國香織 「左岸」
辻仁成との共作、ふたたび。
「冷静と情熱のあいだ」が、とてもよかったので、
ちょっと期待しながら、左岸だけを読みました。
なんていうか、
江國香織の文章のみずみずしいかんじが、あまり感じられなくって、
なかなか読み進められなかった。
人生と時の流れの重みを、どーん、と味わうような作品でした。
右岸を読めば、また、印象が変わるのでしょうが、
物語全体にわたって登場してくる九のキャラクターがよくわからない。
上巻はおもしろかったけれど、
下巻の九って、いったい、茉莉にとって何だったのか、
ただの不思議なキャラクターでしかなかったような気がする。
フランスでのエピソードも、ドラマに欠けるような気がしたな。
江國さんの物語の登場人物が、博多弁を使っていることも、
あまり気に入らなかったです。
方言に慣れていないわたしにとっては、
セリフのイメージがつかみにくかった。
辻仁成の文章がすきじゃないので、
左岸単体で読める作品を期待していましたが、
これは、どうやらそういうものではなさそうです。
江國さんの本は、何度も何度も読み返して、
その世界に浸るのがすきなのですが、
これは、今までのとは全然ちがう。
1度読めば、おなかいっぱいな物語でした。
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