何かを得れば、何かを失う。
恋人が仕事を得た。
彼にとっては、約1年ぶりの仕事。
いままで生きていたことが奇跡だ。
そして、来月から遠くへ行くのだそうだ。
今も離れているけど、さらに遠くへ行くらしい。
これからずっと、何年も。
どうしよう。
というのが、いちばんはじめの感想だった。
働けるのはいいことだし、
それを恋人もわたしも望んでいたのだけれど、
これは予想外で、不意打ちだった。
約束はしていなかったけれど、あと1年か、おそくても2年後には、
恋人といっしょに暮らしてみようかと思っていた。
でも、もういっしょにいる未来が見えなくなった今は、
不安と空しさが大きくて、もう気力がなくなってしまった。
わたしには、何も考えずに恋人についていけるほどの無邪気さはなく、
「ずっと待ってるからかえってきて」と言えるほどの一途さもなく、
「結婚して連れて行って」と懇願できるほどの勇気もなく、
「なんとかなるよ、だいじょうぶ」と言えるほどの包容力もなく、
「じゃあお元気で」と言えるほどの潔さもない。
わたしはつくづく男運のない女だと、帰り道におかしくなった。
男女がどちらかに寄りかかることも、妥協することもなく、
お互いに自立するというのは、
とてもむずかしいことなのだと思った。
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