川上弘美 「蛇を踏む」
ずずさんがおすすめしてくれた、川上弘美の本。
まずは、芥川賞をとったこちらをセレクト。
このひとの文体は気に入った。
とてもわかりやすく、きれいな日本語をつかっているので、
脳にすっとしみこむ。
読んでいて、とても心地よい。
が。
あまりにも抽象的で、独創的すぎて、世界が深い。
このひとの頭のなかには、こんなにすごい世界が描かれているんだー、
と純粋に感動したのだけれど、それがあまりにも新しいので、
わたしはその世界を頭の中に描くことができず、悩んでしまった。
むずかしい、このひとの作品は。
ここまでくると、一種のファンタジィだね。
むー。最初から難しい作品を選んでしまったなあ。
この本には3作の短編がおさめられています。
1つめの「蛇を踏む」は、
主人公ヒワ子が、ある日蛇を踏んだことにより、
その蛇が彼女の家に住みつき、しきりに蛇の世界に誘う。
ね?わからないでしょ?
結局最後までわからないままに物語は終わってしまったが、
わからないながらもおもしろかった。
とても不思議な感覚だった。
もう一度読み直したら、わかってくるのかしら。
2つめは、「消える」。
家族のふしぎなしきたりのお話。
兄は消え、ツボは言葉をしゃべり、兄の婚約者は縮む。
ね?ね?わからないでしょ?
これまたわからないままに物語は終わってしまったのだが、
わからないなりにおもしろかったのだ。
3つめの「惜夜記」にいたっては、
あらすじすらもわからない物語だった。
ここまで理解不可能だった本ははじめてたー。
だが、このひとの書く文章は本当に気に入った。
わたしの知らない言葉がたくさん出てくるので、勉強になるし、
それは、みな「わたしも使ってみたい!」と思うようなすてきなものばかり。
たとえば。
「消える」のなかで、婚約者と兄がずっと電話でささやきあう「睦言」。
この言葉は初めて知った。いつか使おう。あやしい言葉だけど。
今度は、もっと現実的なお話の本を読んでみようと思います。
- 関連記事
-
- 蜷川実花の「GIRLS3」 (2007/04/29)
- 「ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説」 (2007/04/27)
- 川上弘美 「蛇を踏む」 (2007/04/25)
- 東野圭吾 「変身」 (2007/04/22)
- 林 真理子 「聖家族のランチ」 (2007/04/14)