お風呂騒動。
我が家は古い。
わたしが生まれる前からこの家はあるので、
どこもかしこもガタがきている。
わたしのお部屋なんて、壁紙がしましまになっている。
柱の入っている部分だけは色がまだ残っているのだが、
柱のないところは、壁紙の色が薄くなってきていて、
中途はんぱな格子状になっているのである。
そして、水道管もやられてきている。
蛇口をきちんとしめても水がぽたぽたこぼれる。
直すためには、なんと水道管全部をすっかりとりかえなくてはならないのだそうだ。
そして、事件は昨日起こった。
お風呂に入ろうと思い、風呂釜のスイッチをひねったのだが、反応がない。
母が以前に「風呂釜が変な音がする」と言っていたことがよみがえった。
まさか、壊れたのではー。
母とわたしは途方にくれた。
わたしはただでさえお風呂に入るのがめんどうなのに、
銭湯に通うなんてやだやだー、と考えている頃、
母は、修理に必要な金額を計算していた。
なんでも、家は風呂場のなかに風呂釜があり、
そういう構造は、もはや違法となっていて、
ただ風呂釜を修理するだけではすまないらしいのだ。
母は、とことんブルーになっていた。
父に報告するが、父は何しろ自由人なので、
「おれは1ヶ月くらい風呂に入らなくてもだいじょうぶだ。」
などと、わけのわからないことを言っている。
おお、父はこんな大変なときでも自由人だ。
と感心していたら、父が動いた。
やっと風呂場の様子を見に行ったらしい。
その間、わたしと母は、
「どこの温泉に行くか」
「温泉よりも岩盤浴に行きたい」
などと、好き勝手なことを話していたため
風呂場で「どかーん」という物音がしたことなど、
うっかり気づいていなかった。
しばらくして、風呂釜が動き出した音がきこえてきた。
「動いたーー」とわたしと母はとびはねた。
風呂場から戻ってきた父に、
「どうやってなおしたのー?」
ときくと、父は
「風呂釜をぶったたいたらなおった。」
と言った。
そんな…コントのようなことがあってよいのか…。
しかし、この一件で、日頃どうしようもない父の株が急上昇したことは、言うまでもない。
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