江國香織 「神様のボート」
友人つぐみさんより、
おすすめの本をおしえてー、
と言われましたので、
ちょうど読み終わったばかりのこちらを。
江國香織の作品は、どれもすべておすすめですが、
わたしはこの作品がいちばんすきですね。
何年も前に去って行った男のひとの
「どこにいても、必ず探し出す。」
という言葉だけを信じて生きていく女性とその娘の「旅がらす」な物語。
こどもとおとな、ふたつの視線を通して過ぎて行く穏やかな日々は、
何度読み返してもすてきです。
おかあさんの葉子さんは、ずっと「あのひと」を信じていて、
「あのひと」のすべてをこころから大事にしていて、
それはわたしにはない感覚なので、うらやましいと思う。
もちろんこれはフィクションではあるけれども、
どうしても彼女の気持ちの強さに憧れてしまう。
「すぎたことは全部箱の中に入ってしまう。
だからなくすことがないの。すてきでしょう。」
この考え方はとてもすきです。
忘れたいことは、二度とふたを開けなければそれでおしまい。
忘れたくないものは、どこへでも持っていけるし、
いつでもふたを開ければ思い出せる。
ある意味とても冷酷だけれど、ものすごい潔さとポジティブさもある。
なんと言っても、読み終わったあとの気分が爽快です。
結末を知っているのに、涙がでます。
ものすごくすきな一冊です。
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